痛みについて

痛みについて

痛みについて

今月(2020年1月)から数回にわけて、「痛み」について記載していきます。

 

痛みとは何でしょうか?

あなたは自分の痛みを他の人にうまく伝えられますか?ズキズキ、チクチク、ヒリヒリ、ガンガン、シクシクなど痛みを表現する言葉はたくさんありますが・・・↓自分の痛みを他人はわかってくれない!!痛みとは孤独な感覚である。

 

痛みとは

国際疼痛学会による定義不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。Pain is "an unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage" defined by the International Association for the Study of Pain.

 

 

感覚としての痛みは末梢神経の伝達速度の速いAδ線維を経由して、背髄視床路を経て、大脳の体性感覚野にすばやく到達します。情動としての痛みは末梢神経の伝達速度の遅いC線維を経由して、背髄網様体路を経て、大脳辺縁系にやや遅れて到達します。ですから、指などをケガした場合に、「あ!痛い」(感覚)を感じた後に、「いやな気分」(情動)に襲われるのです。 以前は(白く表示)、痛み刺激が体性感覚野に到達した後に、大脳辺縁系に信号が行く、すなわち、「痛いから不快な情動が生じる」、と考えられていました。今では、痛み自体を情動のひとつと捕らえるようになりました。 すなわち、痛みとは感覚だけではなく、情動も伴うということです。原因が特定できる場合もありますが、痛みの原因を特定できない場合もあります。

 

痛みの分類

痛みには侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛に分けられます。 痛みは侵害受容器から末梢神経、背髄、視床を経由して大脳に信号として伝わります。この途中経路のどこかで異常が生じれば痛みとなります。おおまかに言ってしまうと侵害受容器の部位で異常が起これば、侵害受容性疼痛となり、末梢神経〜大脳で異常が生じれば、神経障害性疼痛となります。痛み刺激は、感覚として認識されるだけでなく、感情や思考に関与する大脳の領域にも信号が伝わります。心因性疼痛の原因はまだはっきりわかっていませんが、感情や思考に関与する大脳の領域での異常が推定されています。

 

侵害受容とは

1932年にノーベル生理学・医学賞を受賞したサー・チャールズ・シェリントンが提唱した。たとえば、バラのトゲに気付かずに触ってしまって、無意識に手を引っ込める。手を引っ込めた次の瞬間、痛みを感じ、トゲに触ったことに気付く。痛みを感じたから手を引っ込めたのではない!侵害受容≠痛覚 頚髄を切断したイヌの足の裏にバラのトゲを刺しても、下肢を屈曲する(屈曲反射)。↓頚髄を切断してあるのだから、痛みが脳まで伝わっていない。痛みや屈曲反射を引き起こす末梢刺激はどのようなものであっても「有害な」刺激なので、このような刺激をシェリントンは「侵害刺激」と名づけた。「痛みは至上命令である防御反応を補助するもの」

 

神経障害性疼痛

神経障害性疼痛は「神経痛」と表現した方がわかりやすいかもしれません。神経が傷つくことによって起こる痛みで、代表的なものとしては、三叉神経痛、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性末梢神経痛などがあります。

 

参考文献

 

痛みについてエントリー一覧

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