後藤内科医院、リウマチ科、内科

乾癬とは

乾癬とは

 

 乾癬は主に皮膚科で管理される疾患です。発疹の特徴は銀白色の鱗屑(ふけ)をともなった境界明瞭な扁平に隆起した紅斑です。乾癬の発疹は、全身のどこにでも出ますが、こすれる場所に出やすいという特徴があります。具体的には肘、膝、腰まわりなどです。頭も毛髪が伸びる時、毛が皮膚をこするため好発部位となります。顔面は紫外線照射に治療効果があるため、侵されることは比較的少ない傾向にあります。かゆみは約50%の患者さんにみられます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。まれに発疹が全身におよぶこともあります。

 

乾癬の疫学

 欧米では比較的ポピュラーな疾患で、罹患率は約2%ですが、日本では罹患率は低く0.05〜0.1%です。日本においては、男性で40代、女性では10代、50代に発病することが多いことがわかっています。

 

乾癬の原因

 乾癬が起こる原因ははっきりわかっていませんが、遺伝的な要素がある程度関係し、さまざまな悪化因子が加わって発病や悪化をするのではと考えられています。悪化因子としては上気道感染(かぜ、扁桃炎)などの感染症、季節変動(冬)、擦ったりする機械的刺激、薬剤、ストレスなどがあげられます。乾癬は感染症ではありません。

 

乾癬の病態


 乾癬の病態に関与しているとされたTh1に加え、IL-17を産生するヘルパーT細胞(Th17)とTNF-αを産生し、iNOS陽性の樹状細胞(TIP-DC: TNF-α, iNOS-producing dendritic cell )が関与するという説「 TIP-DC-Th17細胞学説」が提唱されています。まず、皮膚に存在するTIP-DCは、障害を受けた表皮細胞やNK細胞、マクロファージなどから分泌されるTNFα等で活性化されます。TIP-DC自身もTNFαをオートクライン方式で分泌します。活性化されたTIP-DCはIL-23を分泌して、Th17を活性化する一方、 IL-12を分泌し、Th1を活性化します。

 

乾癬の合併症

 乾癬性関節炎、クローン病、癌、うつ病、非アルコール性脂肪肝、メタボリック症候群、心血管病などが知られています。

  危険度 (95%信頼区間)
糖尿病 1.76 (1.59-1.96)
高血圧 1.58 (1.42-1.76)
肥満 1.66 (1.46-1.89)
高脂血症 1.5 (1.4-1.7)
脳卒中 1.26 (1.12-1.41)
心筋梗塞 1.32 (1.13-1.55)
非アルコール性脂肪肝 1.7 (1.1-2.6)

Lancet. online May 27, 2015 http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(14)61909-7より改変

 

乾癬の治療

 まずは、副腎皮質ステロイド外用剤や活性型ビタミンD3外用剤にて、治療を開始し、効果不十分であれば、紫外線療法やレチノイド、シクロスポリンなどを使用します。それでも、皮疹が改善しない場合は、生物学的製剤にて治療します。乾癬の治療を参照してください。

 

乾癬の日常生活上の注意

  日光浴を勧めます。ただし紫外線照射で逆に悪化する患者さんもいますから注意して下さい。食べ物はバランスよく、また規則正しい生活を勧めます。カロリーのとりすぎ(肉類や脂肪分の多い食事)は乾癬を悪化させます。アルコールやタバコはできるだけ避けることをすすめます。またストレスも皮疹を悪化させます。お風呂などで皮疹をごしごし洗わないようにしましょう。感染症にも要注意です。


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