抗MDA5抗体陽性間質性肺炎と新型コロナウイルス感染症

抗MDA5抗体陽性間質性肺炎と新型コロナウイルス感染症

抗MDA5抗体陽性間質性肺炎と新型コロナウイルス感染症

抗MDA5抗体陽性間質性肺炎と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の類似点についての報告がいくつかありましたので、まとめてみました。

 

MDA5とは何か

MDA5は、ウイルス感染時における自然免疫機構で重要な役割を果たすことが知られています。MDA5分子は、ウイルスの2本鎖RNAを認識し、I型インターフェロンを誘導して、ウイルスを排除する作用を持っています。MDA5はピコルナウイルスを認識して自然免疫を発動させることが知られていましたが、新型コロナウイルス(SARS-CoV2)もMDA5発現を誘導する事が報告されています。

 

MDA5抗体陽性間質性肺炎と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の類似点

https://doi.org/10.1183/13993003.01618-2020Eur Respir J 2020; 56: 2001618

 

両疾患(抗MDA5抗体陽性間質性肺炎と新型コロナウイルス感染症)ともに、肺と筋に病変を生じて、肺では重症の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を生じることがあります。さらに、胸部CT画像所見(subpleural ground-glass opacities or mixed with consolidation)、血中フェリチン高値、血中サイトカインの上昇(サイトカインストーム)が類似しているといわれています。 http://dx.doi.org/10.1136/annrheumdis-2020-218594Ann Rheum Dis 2020;0:1-2.doi:10.1136/annrheumdis-2020-218594

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における抗MDA5抗体陽性率

国内では、福岡東医療センターにて「COVID19感染症に対する抗MDA5抗体と重症度に関する研究」が進行中ですが、中国では既に報告があります。https://doi.org/10.1101/2020.07.29.20164780武漢、ハルピン、北京の病院に入院した274名のCOVID19感染症患者の抗MDA5 抗体の抗体価は正常者に比べ高く(b)、COVID19感染症患者の48.2%で抗MDA5 抗体陽性という結果が認められました(c)。 抗MDA5抗体陽性のCOVID19感染症患者(132名)の方が抗MDA5抗体陰性のCOVID19感染症患者(142名)より、重症者が多く(a)、死亡率が高いことが判明しました(b)。

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