後藤内科医院、リウマチ科、内科

JAK阻害剤

JAK阻害剤

トファシチニブ

商品名:ゼルヤンツ
特徴:JAK1,2,3を阻害することにより、数種類のサイトカイン受容体を介するシグナル伝達を阻害します。
効能・効果:既存治療で効果不十分な関節リウマチ。中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)。
投与方法・量:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎の維持療法:5mg 1日2回、潰瘍性大腸炎の寛解導入療法:10mg 1日2回(8週間まで、効果不十分の場合、さらに8週間)。
主な副作用:感染症(特に帯状疱疹)、消化管穿孔、血球異常、肝機能障害、間質性肺炎、静脈血栓塞栓症など。
詳しい情報はこちらから

 


トファシチニブ:帯状疱疹の発症リスクが約4倍増加します。特に日本人/韓国人では危険度が9倍になります。

トファシチニブ:全体の発癌発症率の増加は見られませんが、肺癌、悪性リンパ腫の発症率が高い傾向が見られました。ただし、関節リウマチではもともと肺癌、悪性リンパ腫の発症率が高い傾向があります。→参照:関節リウマチと悪性腫瘍

 

JAK ACADEMY in 名古屋

 

 2017年9月2日(土)に開催された講演会より、トファシチニブに関する内容を掲載します。

 

関節リウマチにおけるJAK阻害剤の意義 

医療法人社団博恵会 桃原 茂樹先生

 


 トファシチニブは免疫担当細胞であるTリンパ球、Bリンパ球のみならず、樹状細胞の機能も抑制する実験結果を提示されました。

 


JAKSTAT. 2013 Oct 1;2(4):e27638
 トファシチニブはJAKを阻害することにより、プロスタグランディンやエンドセリン等の産生を抑制し、痛みを抑える可能性があると示唆されていました。

 


Lancet 2017; 390: 457-68
 この研究はメトトレキサート不応性の関節リウマチ患者(平均罹病期間 5-6年)1146例を、トファシチニブ単独群、トファシチニブとメトトレキサート併用群、アダリムマブとメトトレキサート併用群の3群に分けて、1年間治療効果、有害事象について検討した国際二重盲検試験(ただし、日本人は含まれていません)です。

 



 6ヵ月後、12ヵ月後ともにACR20, ACR50, ACR70の改善率はトファシチニブとメトトレキサート併用群、アダリムマブとメトトレキサート併用群では差はなかったが、トファシチニブ単独群ではやや劣るという結果でした。

 


 有害事象は3群で大きな差はありませんでしたが、トファシチニブ単独群で2例死亡例がありました。1例は腎臓感染症から敗血症で死亡され、もう1例はインフルエンザ罹患後の肺炎で死亡されました。

 



 トファシチニブは汎発性脱毛症にも有効という報告例を紹介されていました。

 


 トファシチニブ、トシリズマブには消化管穿孔のリスクがあるので、腸憩室症の有無をチェックする必要があるとのことで、今後注意したいと思います。

 

ゼルヤンツカレッジ in Tokyo 2018

 2018年3月17日(土) に開催された講演会より、トファシチニブに関する内容を掲載します。

 

ゼルヤンツ錠特定使用成績調査(全例調査)中間報告 

和歌山県立医科大学 リウマチ・膠原病科学講座 藤井 隆夫先生

 
 感染症、悪性腫瘍、間質性肺炎の発生に要注意。
  重篤な感染症の発症はゼルヤンツ投与後、1年以内が多い。
  帯状疱疹は日本人、韓国人で多く発症している。ただ、帯状疱疹治癒後にはゼルヤンツの再開は問題ない。
  帯状疱疹について、患者によく周知しておく必要あり。
  悪性腫瘍に関しては、今の所ゼルヤンツ投与にて増加するという報告はないが、注意は必要。
  投与前、投与中に悪性腫瘍に関して、どこまで調べるか?
  今の所、各医療機関ごとに別々の基準でやっているのが現状である。少なくとも「がん検診」は受けてもらうべきである。

 

 リンパ増殖性疾患発生後、ゼルヤンツとMTX、両方中止すべきか、MTXのみでよいか?
  全例調査の中ではMTX中止のみで、リンパ増殖性疾患が改善した例があるが、今の所どちらが良いか判断は難しい。

 

 間質性肺炎はMTX併用例がほとんどのため、MTXによる間質性肺炎なのか、ゼルヤンツ単独で間質性肺炎が起こるのかはまだ不明である。

 

 ゼルヤンツは低分子化合物であるため、クラリスロマイシン等など薬物相互作用がある。特に高齢者では薬剤投与量が多いので、薬物相互作用によるゼルヤンツの作用増強・副作用発現に要注意である。

 

トファシチニブを臨床でどのように使用するか

佐世保中央病院 リウマチ膠原病センター 植木 幸孝先生

 
 自験例のみならず熊本等との共同研究症例について報告されていた。
  ゼルヤンツの効果発現は早い。2週間で症状改善することが多い。
  ゼルヤンツは1種類のサイトカインだけではなく、マルチターゲットでサイトカインの発現を抑制する。
  MTX非併用でも有効。
  薬剤のon/offがしやすい。
  高齢者では5mgから開始することもある。
  有害事象は生物学的製剤と同程度。
  バリシチニブが発売されてから、JAK阻害剤処方に対する抵抗が少なくなり、以前より>トファシチニブの処方例数が増えた。

 

バリシチニブ

商品名:オルミエント
特徴:JAK1,2を阻害することにより、数種類のサイトカイン受容体を介するシグナル伝達を阻害します。
効能・効果:既存治療で効果不十分な関節リウマチ。
投与方法・量:4mg 1日1回、患者の状態に応じて2mgに減量可能。中等度の腎機能障害の方は2mgから開始。
主な副作用:感染症(特に帯状疱疹)、消化管穿孔、血球異常、肝機能障害、間質性肺炎など。
詳しい情報はこちらから

 

オルミエント全国講演会

 2017年7月22日(土)に開催された講演会より、バリシチニブに関する内容を掲載します。

 

オルミエントの作用機序

産業医科大学第1内科学講座 田中良哉先生


 オルミエントはJAK1およびJAK2を阻害することにより(トファシチニブはJAK1、2、3を阻害する)、インターフェロンγ、IL-6、GM-CSFなどの炎症性サイトカインのシグナル伝達を抑制し、炎症細胞の活性化や免疫細胞の増殖を抑制します。JAK1,2阻害により、倦怠感の改善、食欲不振の改善が認められます。

 

オルミエント第III相臨床試験RA-BEAM試験を読み解く

産業医科大学第1内科学講座 田中良哉先生


 MTX効果不十分例に対するバリシチニブの有効性を検討する国際共同研究で、1305例(うち日本人249例)の関節リウマチ患者が参加しました。

N Engl J Med 2017;376:652-62
 田中先生はこの論文のLast authorになっていました。

 バリシチニブ 4mg + MTX、アダリムマブ 40mg/2週 + MTX、プラセボ + MTXの3群で比較検討したところ、12週後のACR20改善率はバリシチニブ 4mg + MTX群(69.6%)、アダリムマブ 40mg/2週 + MTX(61.2%)群はプラセボ + MTX群(40.2%)に比べ有意に高いことが示されました。また、バリシチニブはアダリムマブに対する非劣性が示されました(バリシチニブのほうがアダリムマブより効いているんじゃないかと私は思いましたが)。

 

第III相臨床試験の結果からオルミエントのbest useを考える

慶応義塾大学医学部リウマチ内科 竹内 勤先生

RA-BEGIN

Arthritis Rheum 2017;69:506-517

 

 DMARD未治療例に対するバリシチニブの有効性を検討する国際共同研究で、584例(うち日本人104例)の関節リウマチ患者が参加しました。

 バリシチニブ 4mg単独、バリシチニブ 4mg + MTX、MTX単独の3群で比較検討したところ、24週後のACR20改善率はバリシチニブ 4mg単独群(76.7%)、バリシチニブ 4mg + MTX群(78.1%)はMTX単独群(61.9%)に比べ有意に高いことが示されました。(MTXを併用しなくても、バリシチニブ単独でも有効なんじゃないかなと私は思いました。)

 

RA-BUILD

Ann Rheum Dis 2017;76:88-95

 

 csDMARDS効果不十分例(MTXのみ 49%、MTX + 他のcsDMARD1剤 23%、MTX以外のcsDMARDS1剤 16%、DMARDS未治療 7%)に対するバリシチニブの有効性を検討する国際共同研究で、684例(うち日本人21例)の関節リウマチ患者が参加しました。

 バリシチニブ 2mg + csDMARD、バリシチニブ 4mg + csDMARD、プラセボ + csDMARDの3群で比較検討したところ、12週後のACR20改善率はバリシチニブ 2mg + csDMARD群(65.9%)、バリシチニブ 4mg + csDMARD群(61.7%)はプラセボ + csDMARD群(39.5%)に比べ有意に高いことが示されました。(バリシチニブ 2mgでも十分有効なのではないかと私は思いました。)

 

RA-BEACON

N Engl J Med 2016;374:1243-52

 

 生物学的製剤効果不十分例に対するバリシチニブの有効性を検討する国際共同研究で、527例(うち日本人20例)の関節リウマチ患者が参加しました。


 バリシチニブ 2mg + csDMARD、バリシチニブ 4mg + csDMARD、プラセボ + csDMARDの3群で比較検討したところ、12週後のACR20改善率はバリシチニブ 2mg + csDMARD群(48.9%)、バリシチニブ 4mg + csDMARD群(55.4%)はプラセボ + csDMARD群(27.3%)に比べ有意に高いことが示されました。(やはり、生物学的製剤効果不十分例では、MTX効果不十分例やDMRAD未治療例に比べ、バリシニチブの有効性が少し劣っているなと私は思いました。)

 

オルミエントの安全性〜臨床試験の併合解析結果〜

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター リウマチ性疾患薬剤疫学研究部門特任教授 針谷正祥先生


 国内外の第II/III相試験に参加した約3500例の対象症例において、副作用発現率は41.5%でした。
 注目すべき副作用としては、6例(1例死亡)に結核が見られ、肺外結核が多かったそうです。
 トファシチニブと同じように帯状疱疹の発生率が高く、日本人では欧米人に比べ、発生頻度が高かったそうです。

  帯状疱疹発生率
全体 3.9%
日本人 8.2%

 

肝障害も日本人で比較的多い副作用ということでした。さらに、5例の間質性肺炎の症例が認められましたが、その内4例が日本人だったそうです。
 そのほかに注意すべき副作用としては静脈血栓症/肺塞栓症があげられていました。

 

ペフィシチニブ

商品名:スマイラフ
特徴:JAK1,2,3,TYK2を阻害することにより、数種類のサイトカイン受容体を介するシグナル伝達を阻害します。
効能・効果:既存治療で効果不十分な関節リウマチ。
投与方法・量:150mg 1日1回、患者の状態に応じて100mgに減量可能。
主な副作用:感染症(特に帯状疱疹)、消化管穿孔、血球異常、間質性肺炎、肝機能障害など。
詳しい情報はこちらから

 


 投与12週/中止時において、ペフィシチニブ100r+MTX、ペフィシチニブ150r+MTXはプラセボ+MTXに比べ、有意に高いACR20改善率が示されました。
 Ann Rheum Dis. 2019; 78: 1305-1319

 

ウパダシチニブ

商品名:リンヴォック
特徴:JAK1を阻害することにより、数種類のサイトカイン受容体を介するシグナル伝達を阻害します。
効能・効果:既存治療で効果不十分な関節リウマチ。
投与方法・量:15mg 1日1回、、患者の状態に応じて7.5mgに減量可能。
主な副作用:感染症(特に帯状疱疹)、消化管穿孔、血球異常、間質性肺炎、肝機能障害、静脈血栓塞栓症など。
詳しい情報はこちらから

 


https://www.rinvoqhcp.com
SELECT-EARLY:MTXナイーブであった中等度から重度のRAの947人の成人患者を対象とした48週間の無作為化二重盲検比較対照試験(12週目の結果)。
SELECT-MONOTHERAPY:MTXに対する反応が不十分であった中等度から重度のRAの成人患者648人を対象とした14週間の無作為化二重盲検比較対照試験(ウパダシチニブ単剤療法)。
SELECT-NEXT:csDMARDへの反応が不十分であった中等度から重度のRAの661人の成人患者を対象とした12週間の無作為化二重盲検比較対照試験。
SELECT-BEYOND:bDMARD(生物学的製剤)に対して不十分な反応または不耐性を示した中等度から重度のRAの成人患者499人を対象とした12週間の無作為化二重盲検比較対照試験。。SELECT-COMPARE:MTXに対する反応が不十分であった中等度から重度のRAの成人成人患者1629人を対象とした48週間の無作為化二重盲検比較対照試験(ウパダシチニブとMTXの併用療法:12週目の結果)。
 上記にいずれの試験においても、ウパダシチニブ15r投与群プラセボ群に比べ、有意にACR20または50の改善を認めることが検証されました。

 


 SELECT-COMPARE試験(12週時点)においてはウパダシチニブ15r投与群アダリムマブ群(HUMIRA)に比べ、有意に高いACR50改善率を認め、HAQ-DI(日常生活における困難の程度をあらわす指数)、患者による疼痛評価(PAIN)においても有意な改善を認めました。

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