後藤内科医院

リウマチ患者の日常生活上の注意

リウマチ患者の日常生活上の注意

 リウマチの治療法としては、基礎療法、薬物療法、リハビリテーション療法、手術療法の4つが基本の柱となります。今回は、その中で、基礎療法、すなわち日常生活上の注意点について説明いたします。

 

[1] 安静と運動

 

最初にリウマチ患者さんからよく聞かれる質問について検討してみましょう。リウマチの時は、「休んだほうがよいのでしょうか」、それとも「体を動かしたほうがよいのでしょうか」という問いです。結論から申しますと、安静・運動ともに必要です。具体的に説明しましょう。安静には「全身の安静」、「局所の安静」、「精神の安静」の3つがあります。

 

「全身の安静」というのは、体を横にして休むということです。特に急性期、関節の痛み・腫れがひどく、発熱がある場合は、安静が大事です。1日睡眠8時間以上取るように心がけましょう。不眠症という方もいらっしゃるかもしれませんが、眠れなくても体を横にするだけで十分です。昼寝も有効です。しかし、安静のとりすぎは、筋肉の萎縮や関節の拘縮・変形を招く可能性がありますので、注意してください。

 

「局所の安静」、これは痛んでいる関節などを休めることです。特に炎症の強い関節は安静にするのが原則です。股・膝・足関節は立っているだけで関節の負担になりますので、これらの関節の安静を保つためには、座ったり、体を横にしたりする必要があります。また、装具やサポーターを利用するのも有効です。

 

「精神の安静」というのは、ストレスや不安など、リウマチを悪化させる精神的要因を上手にコントロールするということです。ストレスはリウマチを悪化させますし、仕事面、経済面、家庭的な悩みもリウマチを悪化させる原因となります。主治医やケースワーカーと相談して、上手に精神的問題を解決するように心がけましょう。

 

「運動」は筋萎縮や関節の拘縮・変形を防ぐために重要です。原則として発熱のある急性期以外は運動を行なうように心がけましょう。特に水中での運動は効果的です。泳ぐ必要はなく、ただ水中歩行をするだけで十分です。水中では浮力の関係で、体重による股・膝・足関節への負担が軽減され、股・膝・足関節の悪い患者でも運動ができます。さらに、水中では陸上と同じ動作をしようとしても、水の抵抗の分だけ負荷がかかることのなりますので、同じ時間運動したとしても、陸上で行なう場合と比べ、たくさん運動をしたことになります。ただし、運動のやりすぎは全身や関節の炎症症状を悪化させることになりますので、注意が必要です。

 

家庭でできる運動方法としては、「関節可動域訓練」と「筋力強化訓練」があります。「関節可動域訓練」とは、関節を最大限に動かす訓練法です。症状のある関節の場合、温めてから運動をするとよいでしょう。1度に5〜6回関節をゆっくり動かすようにします。関節を十分に伸ばしたり、曲げたりします。反動はつけないでください。急性期には1日1回、慢性期には1日2〜6回行なうのがよいでしょう。「筋力強化訓練」では、関節痛を避けるため、関節運動を伴わない等尺性運動を主体に行なうとよいでしょう。たとえば、仰向けに休んで、膝を伸ばした状態で、膝の下にタオルの丸めたものを置き、そのタオルを押すように膝を伸ばします。このようにすれば、膝の屈伸運動をしないで、大腿四頭筋を鍛えることができます。このような運動を1日数回行なうと良いでしょう。この運動は急性期には行わないほうが無難です。

 

安静と運動のバランスについてまとめます。安静のとりすぎは、筋肉の萎縮や関節の拘縮・変形を招く可能性があり、運動のやりすぎは全身や関節の炎症症状を悪化させる可能性があります。運動や仕事は2時間以上続けないにしましょう。目安としては「2時間やって30分休む」です。

 

[2] 関節を守るための工夫

 

関節を守るためには以下の点に注意しましょう。

 

姿勢は背筋を自然にまっすぐに伸ばし、首と肩の力を抜き、良い姿勢を保ちましょう。歩行時には、肩の力を抜き、両手を前に垂らし、やや膝を曲げて柔らかく歩くようにしましょう。床に置いた物を持ち上げるときは、腰を曲げて取るのではなく、膝を曲げて取るようにしましょう。

 

トイレにも工夫が必要です。和式便器は膝・股関節によくありませんので、洋式便座を取り付けるようにしましょう。便座の高さは45〜50cmが理想です。また、立ち上がりに便利なように手すりをつけましょう。

 

寝具に関してはやはりベッドが良いでしょう。床から布団までの高さは55〜60cm、敷布団は硬めのマットレス、掛け布団はなるべく軽いものが良いでしょう。高い枕は避けてください。また、膝の下に長時間枕やクッションを使用して寝ると膝関節の拘縮を起こす危険性がありますのでやめましょう。

 

最後に関節保護6カ条として注意事項をまとめてみました。

 

(1)重いものを指先で持たないようにする

 

(2)長時間同じ姿勢をとらない

 

(3)太っている人は少しでも体重を落とす

 

(4)畳生活をやめて椅子生活にする

 

(5)正座はなるべくしない

 

(6)かかとの高い靴、硬い靴はやめる

 

[3] 入 浴

 

リウマチ悪化の原因としては、過労・冷え・感染症(風邪、虫歯など)・外傷・湿気などがあります。そこで、疲れを癒す、温めるということで入浴は最適です。入浴時の注意点としては、以下の点があります。温度は41℃までが好ましく、入浴時間は長くとも30分以内に抑えてください。お湯の温度を低くして、室温を高くするのがコツです。入浴中は、関節の運動を行なうように心がけてください。入浴後はふとんに入って休み、安静と保温に気をつけてください。入浴回数は1日1回としましょう。また、急性期には入浴しないのが原則です。

 

部分浴も有効です。特に手や足の関節が痛んだり、こわばっているときに最適です。41〜42℃のお湯に10〜20分つけるとよいでしょう。さらに、温水中で関節をよく動かすことが大事です。

 

[4] 環軸椎亜脱臼の予防法

 

 リウマチでは頚椎の一番目と二番目の骨にずれが生じることがあります。環軸椎亜脱臼と呼び、症状としては後頭部痛、手・足のしびれ、めまい・耳鳴り、食事など首を前に曲げたときのふらつきなどがあります。稀に急死の原因となりますので、注意が必要です。環軸椎亜脱臼悪化の予防法としては、枕を低くする、急に下を向かない、食事中は顔をテーブルに近付けない、お辞儀は腰からする、リウマチ体操の首の前屈の代わりに腰の前屈をするなどがあります。

 

[5] マッサージ

 

不適当なマッサージはしばしばリウマチを悪化させる結果となりますので、注意が必要です。専門家に依頼するようにしましょう。どうしても家庭で行ないたい場合は、関節周囲の筋肉のみマッサージをするようにしましょう。ただし、終了後2〜3時間以上痛むときはマッサージのやりすぎですので、次回から注意しましょう。

 

[6] リウマチの食事療法

 

 リウマチの場合、特別な食事療法というものはありませんが、以下の点に多少気をつけたほうが良いでしょう。

 

(1)栄養状態を改善する(タンパク質 体重1キログラムあたり1.5グラム)

 

(2)エイコサペンタエン酸を含む食品をとる

 

 (イワシ、ブリ、マグロ、ウナギ、アナゴ、ニシン、ニジマス、サンマ、ワカサギ、マアジ、サバ、ハタハタの塩干、トリ貝、スズキ、キス、赤貝、アワビ)

 

(3)鉄分を十分にとる

 

 (ひじき、煮干し、豚・鶏肝臓、焼きのり、シジミ、ごま、切り干し大根、凍り豆腐、パセリ、ウナギ、ほうれんそう、小麦胚芽)

 

(4)カルシウムを十分にとる

 

 (牛乳、ヨーグルト、チーズ、サクラエビ、煮干し、イワシ、ひじき、ごま、わかめ、ドジョウ、シラス干し、切り干し大根、焼きのり、シジミ)

 

[7] リウマチのしてはならない5カ条

 

最後に重複した項目もありますが、「リウマチのしてはならない5カ条」としてまとめてみました。

 

(1)将来への悲観

 

(2)ステロイドホルモンを急にやめる

 

(3)片手で不用意にものを持つ

 

(4)膝を曲げっぱなしで寝る

 

(5)高い枕

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